老後のお金を「月いくら」に直す3つの式(3)
医療費が100万円かかっても、払うのは9万2,940円でした。
そして、一生で約3,000万円と言われる医療費も、保険がきく分なら、自分で払うのは1年53万円まででした。
今年の8月からは、1か月の上限に加えて、1年の上限もできました。年収が約370万〜770万円の人なら、年53万円までです。
介護にかかったお金は、平均542万円。
どちらも、いくらかかるか分からない数字の代表です。
でも、上限と期間で区切ると、「月いくら」に直せました。
一生の医療費は、約3,000万円
国が出した、1人あたりの一生の医療費です(厚生労働省「生涯医療費」令和5年度推計)。
一生の合計:2,966万円
65歳まで:1,333万円(45%)
65歳から:1,633万円(55%)
そのうち75歳から:1,111万円(37%)
半分以上は、65歳からです。
ただ、これは保険から払われた分も含めた、医療費の総額でした。
式1 医療費 × 負担の割合 = 自分で払う額
医療費 × 負担の割合 = 窓口で払う額
根拠
窓口で払う割合は、年齢で決まっています。
69歳まで:3割(小学校に入る前は2割)
70〜74歳:2割(所得が多い人は3割)
75歳から:1割(所得によって2割・3割)
残りは、保険料と税金から払われています。
例
75歳からの医療費 1,111万円 × 1割 = 約111万円
仮に75歳から15年で割ると、1年あたり約7万4千円。月にすると約6千円です。
自分の数字を入れる
医療費__万円 × 負担の割合__割 = 窓口で払う額__万円
式2 高額療養費の上限
8万5,800円 +(医療費 − 28万6千円)× 1% = 1か月に払う上限
年収が約370万〜770万円の人の、1か月の上限です(2026年8月から)。
根拠
1か月の医療費が高くなっても、払うのはこの上限まで。超えた分は、保険から払われます(高額療養費制度)。
入院中の食事代や、個室の差額ベッド代は含まれません。
例
3割負担なら、窓口では30万円
8万5,800円 +(100万円 − 28万6千円)× 1% = 9万2,940円
これが、冒頭に書いた9万2,940円です。
さらに今年の8月からは、1年の上限もできました。
この年収の区分なら、年53万円まで
月にすると、約4万4千円
1年に何度も上限に届いた人は、4回目から1か月4万4,400円に下がります
これが、冒頭に書いた「1年53万円まで」です。
自分の数字を入れる
自分の所得区分の1か月の上限__円・1年の上限__円
(保険証の発行元か、厚生労働省の表で確かめる)
式3 月の費用 × 期間 + 一時費用 = 介護のお金
月の費用 × 期間 + 始めるときの費用 = 介護のお金
根拠
介護をした人に、実際にかかったお金を聞いた調査です(生命保険文化センター 2024年度)。
始めるときの費用(住宅の手すり・介護用ベッドなど):平均47万2千円
毎月の費用:平均9万円
介護をした期間:平均55か月(4年7か月)
例
9万円 × 55か月 + 47万2千円 = 約542万円
ただし、毎月の費用は場所によって大きく違いました。
在宅:月5万3千円
施設:月13万8千円
同じ「介護」でも、倍以上の差です。
自分の数字を入れる
月の費用__万円 × __か月 + 始めるときの費用__万円 = __万円
分からない不安は、終わりのある数字に変わる
医療費の3,000万円も、介護の542万円も、そのままでは大きすぎて、備えようがありません。
でも医療費には、1か月と1年の上限がありました。
介護には、平均の月額と期間がありました。
上限と期間で区切ると、分からない不安は、終わりのある数字に変わります。
大きな数字は、割るか掛けると、自分の大きさになります。
自分の数字で、まとめて計算したい人へ
いまの収入と支出、資産、何歳まで働くかを入れると、「会社に縛られなくてよくなる年齢」が出る計算機を作りました(無料・1分)。
老後のお金の計算機
https://fire-simulator.meirinkan.workers.dev
この先について
このシリーズで紹介している式は、全部で15本あります。
15本を1冊にまとめて、自分の数字を入れるだけで全部計算できるスプレッドシートを付けた版を作ろうと考えています。
ほしいと思った方は、いいねかコメントで教えてください。反応を見て作ります。
書いた人
お金の数字の翻訳家。投資22年・エンジニア20年の会社員です。
Instagram(@nagara_takumi)で、年金・NISA・退職金などの大きな数字を「月いくら」「あと何年」に翻訳するリールを出しています。
出典
厚生労働省「生涯医療費(令和5年度推計)」男女計 2,966万円・65歳未満 1,333万円・65歳以上 1,633万円・75歳以上 1,111万円
厚生労働省「高額療養費制度の概要」令和8年8月〜:年収約370万〜約770万円 85,800円+(医療費−286,000円)×1%・多数回該当 44,400円・年間上限 530,000円
生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」介護の一時費用 平均47.2万円・月額 平均9.0万円(在宅5.3万円・施設13.8万円)・期間 平均55.0か月
注意
上限は、年齢と所得の区分で違います。ここでは年収約370万〜770万円の区分で計算しています。
統計の平均値・推計値です。家庭ごとに違います。
学習用の計算です。将来の成果を保証するものではなく、特定の金融商品の推奨ではありません。
数字は公表のたびに変わります(この記事は2026年10月時点)。
──────────
ながら起業のタクミ
会社員のまま、AIと組んで人生の主導権を取り戻す。その実践ログを書いています。
うまくいったことより、うまくいかなかったほうを詳しく書きます。
そっちのほうが、たぶん役に立つので。





タクミさん、
窓口で30万円のはずが、上限の式に入れると9万2,940円になるところ、数字を追いながら「おお…」となりました!
今年の8月から1年の上限ができていたのも知らなかったです💦
介護の在宅と施設で倍以上違うのも、平均だけ見ていたら気づけないところでした。